このページでは酒にまつわる話や、エピソードなど書き綴っていきたいと思います。
     
 VOL5:酒のルーツ 〜 其の一(H20.1.8) 
 
現在お酒は焼酎やビール、ワインなど数多くの種類が製造され、飲まれていますが、どのようにしてお酒(アルコール)が造られてきたのでしょうか。少しだけお酒の発展してきた歴史を調べてみました。
◆自然に出来上がった果実酒

 お酒は、そのルーツを調べてみると古くは紀元前3000年〜4000年(縄文時代)くらいにも飲まれていた形跡があります。当時はキイチゴやヤマブドウなど採取した果物が主食でしたが、それを原始的な器に保存しておいたところ、それらの果皮に付着した野生酵母の働きによりアルコール発酵が起こり、原始的な果 実酒が自然にできあがったのです。そのようにして偶然にできた酒を、さらに上手に造るため器も考案され発展していきました。
◆口噛み酒

 太古から伝わる酒の製法に「口噛み酒」と呼ばれる方法があります。口噛みの酒は、東アジア一帯や東南アジア、南太平洋地域から中南米にかけて広範囲にわたって太古から分布しており、沖縄では明治時代まで祭事用の酒造りとして伝承されていたものです。中期縄文人は、クリ・ドングリ・クルミなどの堅実類、カタクリ・ヤマノイモ・ユリの根などの根茎類、アワ・ヒエなどの雑穀類などといった、デンプン類の食物を食べていたと推定されています。 このようなデンプン類をゆっくり噛んでいると、唾液中の糖化酵素(アミラーゼ)によってデンプンが分解され、ブドウ糖ができて甘くなります。 甘くなったデンプン類の食物を、容器に吐き溜めておくと、空気中に浮遊している野生酵母が落下してきて、アルコール発酵を引き起こして酒になります。 俗に言うこれが「口噛み酒」と呼ばれているものです。現在の感覚ではちょっと考えられない製造方法です。ちなみに口噛みは女性の仕事でした。まあ男性が噛んだものよりは少しはマシかも?
◆麹菌により進歩した酒造り

 現代の焼酎や日本酒などを製造する上でかかせないのが麹です。麹菌は空気中に浮遊していたり、稲藁などに付着していますが、煮た米や蒸した米に漂着すると、そこで胞子を出芽させて菌糸を造り、さらに多くの胞子を着生させながら増殖していきます。 その中で、麹菌は、酵素とくにアミラーゼを多量に生産し、それを体外に分泌して米麹内に残すから、米のデンプンは糖化されてブドウ糖に変わります。麹菌の発見により酒造りは爆発的に発展を遂げました。麹がいつ頃から使われていたのかは定かではありません。しかし、米食の風習は縄文時代後半から弥生時代の頃にも存在していた事や、現代のように水と炊き込んだ米飯ではなく、甑と呼ばれる蒸し器で米が蒸して食されていたのを考えると、麹菌の存在は確認されていた可能性が高いでしょう。(ちなみにその頃の蒸した米飯は強飯と呼ばれ、現在の餅と同じくらいの水分含有量(35%〜40%)だった⇒餅は麹カビ等の菌が繁殖しやすい。)

次回はこの麹菌と焼酎の歴史について掲載します。
 
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