このページでは酒にまつわる話や、エピソードなど書き綴っていきたいと思います。
     
 VOL6:酒のルーツ 〜 其の二(H20.1.30)  
 
麹の重要性

 前回に述べたように麹菌の発見は、いつ頃から使われていたという明確な記録は無いものの、着実に酒造りの工程に無くてはならないものとして取り入れられるようになりました。余談ですが、私が喜界島酒造のホームページを作り始めた頃、重大なミスをおかしてしまいました。それは何かというと製造工程のページで種麹の品名がわかる画像を掲載してしまった事です。 その時、社長があわてて「すぐに削除してくれ!」と電話をかけてきました。それほど種麹の選定は酒の味を決めるうえで重要な部分であり、酒造会社にとってはトップシークレットに位置するものなんだと初めてわかりました。ちなみに製造工程のページで種麹の品名に修正がかかっている写真に気が付いたでしょうか?ホント素人の判断は怖いですね。

麹の種類

 数多く存在する麹菌の中で、少し前まで焼酎造りに使用されてきたのが、主に白麹菌と呼ばれるものです。しかし、最近の傾向として「黒麹菌」を使った芋焼酎や麦焼酎が多く市場に出回るようになりました。黒麹菌はもともと沖縄の泡盛を造る際に使用されており、焼酎に使われだしたのはごく近年のことです。一般的に焼酎造りで使用されるのが白麹と黒麹ですが、まれに黄麹菌も使われています。黄麹菌はもともと味噌、醤油、清酒に使われていました。その違いはまず色が違います。色の違いは麹の胞子の色の違いです。白麹は白色、黒麹は黒色をしています。外見の色だけではなく、白麹と黒麹では製成される糖化酵素やその他の成分の種類や量が異なっており、焼酎の質が違ってきます。白麹製で作られた焼酎はすっきりとした味わいで飲み応えがあります。黒麹製で作られた焼酎は、落ち着いた香りで後味にわずかな苦味がキリッと残る味になります。

九州で焼酎が発展してきた理由

 南国で焼酎が発展した理由として、黒・白麹ともにクエン酸発酵が盛んで、もろみが強い酸性に保たれるため、発酵途中での雑菌の繁殖を防ぐことができます。このため雑菌が繁殖しやすい、気温の比較的高い地方でのアルコール醸造に適しています。しかし同時に、もろみが強い酸味を帯びるためそのままでは飲用に適さず、蒸留する必要があるため、九州・沖縄地方では蒸留酒である焼酎が発達したと考えられます。逆に寒冷な地方では雑菌が繁殖しにくいため、もろみを強い酸性に保つ必要がなく、搾ったものをそのまま飲める清酒文化が発達したと考えられます。

 以上、述べてきたように、現在お酒は数多くの種類が出回ってますが、それらを生み出してきたものは、その土地の風土や環境です。土地には産物があり、人の智恵が加わり、いろんな副産物が生まれます。酒文化もこの世に人類が存在する限りまだまだ発展していくでしょう。
   
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