このページでは酒にまつわる話や、いろんなエピソードなど書き綴っていきたいと思います。
     
VOL39:酒かすの再利用法(H23.9.8)

 酒 粕(さけかす)とは、日本酒や焼酎などのもろみを圧搾した後に残る白色の固形物のことです。酒粕の成分は日本食品標準成分表によると、水分51%・炭水化物23%・蛋白質13%・脂質・灰分となっており、他にもペプチド・アミノ酸・ビタミン・酵母などが含まれています。ひと言で言うと酒造りには切っても切れない存在です。

 焼酎を製造する際に生じる蒸留粕は年間に数10万トンにものぼります。本格焼酎の生産が増大すればするほど大量に生じる酒粕をどのように処理するかが各蔵元の課題であり、処分できないものは海洋投棄などで処理しますが、海洋汚染防止を目的とした1972年のロンドン条約の締結後はそれも難しくなりました。そこで酒粕を何とか上手に活用できないだろうかという動きが活発になってきたのです。
 
 焼酎のもろみから取れる焼酎粕はクエン酸を大量に含んでいるため酸味が強く、さらに揮発性のエタノールを含んでいるのため、体内に吸い込んでしまうと酒酔いと同じ症状になってしまいます。このように扱いにくい「酒粕」ですが、数年前から再利用について研究が進み様々な取り組み、試みがなされています。今回はその「酒粕」について掘り下げてみたいと思います。
 焼酎粕コンクリート

 港湾施設で使用されているテトラポットや海中に投入する魚礁など、一般には無機物の塊であるコンクリートに焼酎粕などの有機成分を混入することで、藻場造成、集魚効果、浄化作用、環境保全効果を向上させることが確認されています。混入する有機成分がバクテリア(微生物)の付着を促進し、魚介類をはじめとした水生生物の誘引効果向上と水質浄化作用で環境保全効果向上を各種実験等で成果をあげているようです。  製造に関しては焼酎粕の原液をただ混入するのではなく、焼酎粕を発酵処理しそれを濃縮して生成した濃縮アミノ酸液を配合して製造します。濃縮することで焼酎粕に含まれるアミノ酸濃度を高めることにより、さらなる有効な効果が期待できます。

(参考HP)鹿児島共和コンクリート
 メタンガス生成

 焼酎製造工場から排出される焼酎粕、芋くずを発酵させメタンガスを回収します。従来の焼酎粕のメタン発酵方法は、焼酎粕の液部だけをメタン発酵し、固体分は乾燥飼料にするか焼却していましたが、最近では焼酎粕や芋くずの粉砕物全部を短期間にメタン発酵させる方式に変わっており、ガス回収率も高くなっているようです。

(参考HP)財産法人 新エネルギー財産
 飼料・肥料へ再利用


 焼酎粕はもともとアルコールを蒸留抽出した後のもろみの残りであるため水分の割合が多く腐敗しやすいのが欠点です。従ってそのままでは家畜の飼料として向かず、乾燥させる必要がありますが、乾燥させるにはコスト面で厳しい面があり、開発に乗り出した南九州の酒造会社も一時は供給を断念せざるえませんでした。しかし乾燥させて加工した酒粕は栄養価が高く、健康で丸々とした家畜が育つため、畜産業者の強い要望を受けて酒造会社が地元の大学の協力をもらい挑戦した結果、再度供給できるようになりました。その飼料を食べた家畜は肉質が良く香りも良いため市場でも良い値段が付いており、ブランド肉として知られるようになりました。その成功の理由として酒粕をリサイクルする際、メタンガスを同時生成して乾燥させるのに必要なエネルギーを確保できたことが大きな理由だといえます。


(酒類総合研究所の研究結果より)
黒糖焼酎の粕およびもろみ酢には大腸ガン細胞の増殖抑制効果があることが認められました。黒糖焼酎粕由来ポリフェノール濃縮液、糖蜜由来ポリフェノール画分等色素含有物にも同様の増殖抑制効果がみられたことから黒糖焼酎粕着色物質であるポリフェノールが重要な役割を果たしていると思われます。
今回の研究結果から、処理が難しいとされる黒糖焼酎粕色素の付加価値増大が期待され、有効利用への可能性が開かれました。また、同様の色素を含む糖蜜由来バイオエタノールや連続式蒸留焼酎の製造への応用も期待されています。

(上岡龍一教授の研究より)
 2005年、崇城大学(熊本市)応用生命科学科の上岡龍一教授は、焼酎かすにがん細胞の増殖を抑制する効果があることを発見しました。人のがん細胞をシャーレで培養させたものに、焼酎かすの上澄み液を凍結乾燥処理させたものを投与したところ、何も投与しない場合に比べて、麦と米の焼酎かすにはがん細胞の増殖を9割以上抑える効果があることを確認。また、動物実験の結果、副作用もありませんでした。また、上岡教授らの研究グループは、麦焼酎かすがシミやそばかすの原因となるメラニンを抑える働きを持つことも確認。美白効果があるとして、今後化粧品などへの活用が期待されています。
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