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貯蔵法は大きく分けて3種類
それぞれに長所・短所があります
くろちゅうマガジンの「古酒の魅力」でも紹介しましたが、焼酎は蒸留が終わった後、すぐに瓶に詰めて出荷することはありません。できたばかりの焼酎は旨み以外の味も強いため飲みにくいのです。そのため蒸留後、一定期間貯蔵して焼酎の質を安定させることが必要になります。通常の焼酎は1〜3ヶ月が一般的ですが、さらに熟成させる場合にはもっと長い期間貯蔵することになります。なかでも「古酒(クース)」と表示させるためには最低3年以上の熟成期間が必要となります。私が沖縄に旅行に行った際には必ず泡盛の古酒をお土産に購入しますが、店頭に並ぶ泡盛は古酒がたくさん売られています。泡盛の場合、長く熟成させればさせるほど風味が増し、5年、10年物をはじめ、20年物というものも珍しくありません。しかし、すべての焼酎がそれにあてはまるわけではありません。例えば黒糖焼酎の場合、熟成させるには熟成に耐えうるだけの酒質が必要となります。つまり、どんな焼酎でも長期貯蔵すれば良い(美味くなる)というわけではないのです。一定の条件をクリアした焼酎が長期貯蔵酒(古酒)として生まれ変わることができるのです。焼酎は基本的に出荷した時点が一番美味しい状態ですので、開封後は早く飲みきるようにしたいものです。開封してしまうとどうしても空気や光が入り劣化が進んでしまいます。ちょっと自宅で寝かした方が好きだという方はその点は注意しましょう。しかし、焼酎は酒の中でもわりと安定しているので、それほど神経質になる必要はありません。
焼酎の貯蔵法は蔵元(メーカー)によって様々ですが、一般的に@タンク貯蔵 A甕貯蔵 B樽貯蔵 という3つに分けられます。それら容器に関しては酒の質や味に大きくかかわってくるので蔵元で最もこだわる部分です。製品にバリエーションをもたせるため、2つ以上の貯蔵法で製造する蔵元も多いようです。 |
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◆タンク貯蔵
ステンレスやホーロー製のタンクが一般的で、他のタンクよりで貯蔵するよりも容器のにおいが移りにくく、品質を一定に保つことができるというメリットがあります。タンク貯蔵では、蒸留したての焼酎に多く含まれる発揮性のガス臭を攪拌して熟成させます。しかし、他のタンクに比べると熟成の早さはやや劣ってしまうというデメリットはあります。
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◆甕貯蔵
甕は素焼きのものを使用するため、小さな気孔が無数にあります。焼酎がその穴から呼吸をして熟成が進み、まろやかなそして個性のある風味を持たせることが出来るといわれています。そのほか、遠赤外線効果や甕から溶け出す無機物の触媒効果によって熟成が促進される効果が期待できるなど、甕貯蔵する蔵が増えてきています。
←※画像は当社系列会社
「幸蔵酒造株式会社」のものです。 |
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◆樽貯蔵
主にウィスキー樽、シェリー樽などに用いられ、樽貯蔵をすると無色透明の焼酎や泡盛にウィスキーのような琥珀色がつき、樽の香りが焼酎に移って個性的な風味が作られます。中には、甘いバニラのような風味がつき、より個性的な仕上がりになっているものもあります。しかし、濃い色が付き過ぎるとウィスキーと混同する恐れがあるため、酒税法によって色の濃さが制限されています。そのため、タンクや他の容器を併用しながら長期間熟成させるようにします。 |
貯蔵方法だけではなく、貯蔵場所にも様々な工夫を凝らし、独特の個性を持った焼酎が生み出されています。鍾乳洞、廃線トンネルの中、洞窟、トンネル跡、なかには防空壕跡を利用しているところもあります。貯蔵する環境の湿度や温度の変化が少ない方が良いため、温度が一定している保管場所が選ばれます。 |
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手間のかかる焼酎にだけ許された特権
その色と味わいは丸く深く心を癒してくれます
樫樽で貯蔵された弊社の製品
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焼酎は無色透明のイメージがありますが、弊社のキャプテンキッドやせいら(金)のように樫樽貯蔵を行った焼酎は、樽の色が移ってしまうため薄い琥珀色になります。ちょっと見た目はブランデーかウイスキーのような感じになります。ただし、ブランデーやウイスキーと区別するため酒税法で色の度合いが定められており、ウイスキーなどの色の10%〜20%の範囲までと定められています。またカラメル等の人工的な着色は禁止されており、あくまでも自然に樽から付いた色だけに限られています。樽貯蔵法というのはもともとブランデーやウイスキーからヒントを得ているため仕方ありません。つまり、色も酒の区別化をする上で重要な要素だということになります。
綺麗な琥珀色を付けるためには樫樽の中で長期間熟成させることが必須になるため、必然的に風味と味わいを兼ね備えた琥珀色の焼酎が生まれることになります。樫樽で熟成された黒糖焼酎、是非ご賞味ください。 |
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