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一杯やりながら喜界島の伝説・昔話に耳を傾けてみませんか? |
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昔、姉妹の天人がいました。ある日、天から降りてきて水辺に降り立ちました。姉妹は飛び羽(羽衣)を水辺の近くに置いて水を浴びていました。すると牛飼いが通りかかり、「ああ、いい着物があるなあ、これは珍しい物を見つけた。持って帰り自分の物にしよう。」と持ち帰ろうとしました。すると姉の方は先に気が付いてすぐに飛び羽を持って逃げることができましたが、妹の方は遅れてしまい、飛び羽をその牛飼いの男に取られてしまいました。妹は困ってしまい「どうか返してください、それが無いと天に帰れません。」と泣いてお願いしましたが、男は返してくれませんでした。そして男は「私の妻になったら返してやる。」と言いました。それでとうとう妹は男の奥さんになることになりました。それから幾年か二人で暮らしていましたが、嫁の家(天)に里帰りするということになり、天女が飛び羽を着て、その旦那を脇に抱えて天に上がっていきました。天に昇っていく途中で女房は「あっちに着いたら必ずナイキリという言葉が出ると思うから、それが出たら横に切りなさい」と告げました。(ナイキリとは縦に切れという意味) それからしばらくすると天に着きました。案の定、キュウリの時期だったので、「そのキュウリを切ってください」と言われ、旦那は女房が言った事を忘れキュウリを縦に切ってしまいました。するとたちまち二人は切り離されて、夫は地上に戻され、女房は天に残ることになったそうです。そして二人は年に一度、七夕の日だけ会うことが許されるようになったという事です。 |
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昔、喜界島の中里集落のある家に「神様」と呼ばれるお爺さんがおりました。その頃、沖縄の王様の娘が病気で骨と皮になり痩せていました。お爺さんは沖縄に渡り、「あなたの家の中柱(なーばしら)の下に蛇がいるから、その蛇を殺してしまわないと、娘さんはもう命がありませんよ」と告げました。すると沖縄の人々はみんな笑って信じませんでした。するとそこから本当に蛇が出てきました。王様はお礼にお爺さんの船にいろんな品物を積んでくれました。その荷物を積んで喜界島に帰る途中船が遭難してしまいました。すると亀が現れてそのお爺さんを背中に乗せて助けてくれました。そして中里のタンニャミ(地名)に着いたそうです。そこでお爺さんは「あなたはうちを助けるために来てくれたんだな」と言って、王様から貰った刀とお双紙(※注)が入った箱を亀の背中に乗せてやりました。そして海岸から自分の家に戻ると、さっき渡した双紙箱が縁側に届いていました。それ以来その家では貰った刀を盆と正月にきれいに磨き、亀の肉を食べなくなったそうです。
(※注)南島でいう双紙とは本土の草子(物語、文芸書)とは異なり、「時双紙」とも称された宗教的、信仰的な書籍。 |
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◆参考書籍・・・琉球の伝承文化を歩く3 喜界島編(三弥井書店) |