このページでは酒にまつわる話や、いろんなエピソードなど書き綴っていきたいと思います。
     
VOL27:食文化と微生物のチカラ (H22.2.13)
焼酎と微生物
 アルコールの生成に欠かせないのが麹カビですが、その麹カビも様々です。中国や東南アジアの酒に用いられる麹カビはリゾップス(クモノスカビ)系と呼ばれています。それに対し日本の焼酎や清酒の麹に用いられるカビはアスペルギルス属の黄麹カビ(和名:ニホンコウジカビ)(清酒)や黒カビ系統(焼酎)のものです。ご存知の通り主に焼酎造りで用いられる黒麹カビや白麹菌(黒麹カビの変異したカビ)はクエン酸生酸性が強く、アルコール発酵のもろみが腐るのを防ぐ作用があります。それが高温多湿の気候の中で焼酎が発展してきた理由でもあります。その他のカビとして紅麹カビがあります。紅麹カビはモナスクス属のカビで、菌糸は鮮赤色をしており、台湾の紅酒を製造するための主要なカビとなっています。代表的な酒として紹興酒などが有名です。


 日本を含めて東南アジアはカビ酒文化圏と言われているのに対し、西洋は麦芽酒文化圏と言われています。西アジアやヨーロッパの気候は雨が少なく乾燥しているのでカビの生育が悪く、必然的に麦芽が麹の代わりに用いられてきたのです。中国でもシルクロードを経て西洋から麦芽法が伝わったと考えられますが、中国の気候では麦芽法を行った場合、カビの繁殖があまりにも活発になるなため、途中でやめてしまったと考えられています。しかしながら、その過程でカビの利用価値が確認された事は間違い無いでしょう。

リゾップス
(クモノスカビ)

アスペルギルス属の黄麹カビ
人類に役立つカビの存在
 「カビ」といえば、汚いイメージが浮かびますが、ペニシリンの様にカビから作られた医薬品も存在します。食品では鰹節や味噌、醤油、清酒、焼酎などもカビの助けによってつくられています。このようにカビと私達の生活は切っても切れないほどの関係になっています。カビの誕生は今から5億年前とも推測されており、人類より遥か前に生まれた大先輩と言えます。

 「カビ」とは菌類の一部の姿を指す言葉で、肉眼的に観察される微生物の集落(コロニー)の俗称です。糸状菌の姿を持つ菌類といえます。これらを人の手でしっかり培養すれば、綿毛状の菌糸からなる円形の集落(コロニー)を形成し、その表面に多くの胞子を形成します。また、麹菌の胞子を種こうじといいます。

 日本の醸造に使われている麹菌は、雄雌の性別がないものとして分類学上は不完全菌に入れられています。麹菌胞子の直径は3〜5ミクロンで針の穴へ並べると100個位並び、重さは100億個で約1gです。酵素は麹菌が蒸米(麦)上で増殖する時に出す汗のようなものです。日本の醸造食品の要となっている麹が食品に利用されている理由は、麹菌のつくる酵素によって食品の成分、味、香り、色などを変化させることが出来るからです。酵素は蛋白質を分解してアミノ酸をつくったり澱粉を分解してブドウ糖をつくったりします。
麹菌のウンチク
麹の種菌の呼び名は「もやし」

 麹の種菌のことを「もやし」と呼んでいますが、菌糸と胞子の形状がもやしに似ているからという説と、「萌える:芽が吹く」⇒「萌やす」⇒「もやし」になったという説もあります。発酵食品の歴史は古くからあるのですが、種麹の製造販売が行われたのは明治時代に入ってからと言われています。それまでは麹商人によって酒屋とは別個の産業として存在していました。前述したように、味噌、醤油、酢などの食品作りに欠かせないものだけに、その製造権利(麹座)をめぐって度々紛争が起こりました。

明治時代以前の木灰の有効活用

 現在のように科学の力で微生物の働きが解明されていなかった時代、明治以前の時代には木灰(木を燃やした灰)を利用して麹の品質保持がされていました。もちろん科学的・論理的に効能が立証されていたわけではなく、麹を取り扱う中で試行錯誤の末に発見されたと思われます。

現代の微生物学的見地からの木灰の効能
防腐剤的効果 蒸米に木灰を混ぜるとアルカリ性になり、麹菌以外の有害菌類は死滅する。
栄養的効果 木灰に含まれる栄養素(ミネラル・カリウム・リン)が麹菌の育成を助ける。
物理的効果 蒸米に混ぜる事により蒸米間の密度を広くし、好気的環境を形成し、麹菌菌糸の破精込みを良くする。
形態変化 木灰を加えると麹菌の分生胞子柄の部分が短縮され短毛型になり、胞子の形成が多くなる。
分生子の色相変化 木灰に含まれるCu(銅)が加わると胞子の緑色の色素が濃くなり、胞子の形成を盛んにする。
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