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VOL29:喜界島驚きの遺跡 (H22.5.25)
失われた街が海底に??

(只今、目撃情報をもとに捜索中!)

  (喜界島荒木海岸)

 喜界島の荒木海岸から南西6kmくらい沖にウガミ礁と呼ばれる浅瀬があります。1993年、そこの水深15メートルくらいの海底で5人のダイバーが不思議な構造物を目撃しました。それは巨大な壁が続いている街のような構造で、白い道路が真っ直ぐに延び、十字路にあたるところには、高さ3メートル、直径1メートルほどの石柱がそびえ立っていいたといいます。グループのリーダーであった青木氏は、この構造物を目の当たりにし、「遺跡か、昔の住居跡が沈没したものかと思った」と感想を述べています。しかし残念なことに目撃者の記憶がまちまちであり、その後そのポイントを探索しましたが発見されませんでした。しかし地元漁民の間でもその海底建造物の話は有名であり、喜界町観光協会では、懸賞金100万円を提示し、海底構造物の調査をスタートさせました。ウガミ礁海域を中心に謎の海底構造物の調査は進められましたが、現在のところその位置は確認されていないようです。しかし、有名な与那国海底遺跡の例からして決してありえない話ではありません。

【参考HP】 与那国海底遺跡

 何故、本土や中国の物が喜界島に?

喜界島には現在、131の遺跡があります。1985(昭和60)年の先山遺跡に始まりこれまでに数次にわたり発掘調査が実施され、その成果として縄文時代前期の約6,000年前に喜界島に人が住んでいたことや平安時代(9世紀)〜室町時代(14世紀頃)にかけての大規模な集落があったことや、九州や沖縄などの南北両地域と盛んな交流が行われていたことなどが分かってきています。
 喜界島には数多くの遺跡が存在しますが、最も人々を驚かせた遺跡と言えば城久(グスク)遺跡です。何故この城久遺跡が人々を驚かせたかというと、今まで考えられてきた喜界島の風土記、歴史をくつがえす出土品が発見されたからです。その出土品とは中国や朝鮮半島の青磁や白磁、日本の東海地方や九州の陶器など、喜界島の周辺の島や沖縄本島方面には無いものがたくさん見つかっており、地元産の土器は殆ど出土されませんでした。これは今までの考古学、歴史学をくつがえすものであり関係者は驚愕しました。その遺跡は九州の大宰府のものがそっくりそのまま海を越えてきたような感じでした。その異様な遺物は陶磁器などだけではなく、4本柱の大型建物群や、サンゴをしいた長さ45mもある道路など、南西諸島には考えにくいものも発見されました。極めて異常な発見だったのです。当時の文献資料には螺鈿細工の原料となるヤコウガイなどが南島から朝廷に献上された記録もあり、これまでは主に考古学の成果をもとに、喜界島や奄美大島は日本という境界の外側にあって、漁労や採集の生活が中心となり営まれてきたと考えられていました。しかし、城久遺跡群はそれと違っていたのです。国学院大学教授の鈴木氏は文献と考古学の食い違いに早くから着目しており、「前半は大宰府の官人が駐在する支配拠点、後半は九州の在地勢力による流通センター」であるとの解釈を述べています。それは喜界島にはヤコウガイなどの特産品の入手や取引を軸とした東アジアの交流の核が存在したということです。本土史からすれば日本の枠外と思われていた地域に日本が存在していたため、研究者にとってはショックを受けたという事になります。

 一方、沖縄史研究の分野ではここ数年、沖縄は日本(大和)の一部の地域という位置から、独立した地域として描きなおされてきました。この新しい沖縄像は日本(大和)からの脱却を目指す意識が強く、沖縄が南西諸島の中心となり、文化の流れはその周辺の島々(奄美群島など)へと流れていったという捉え方がされていましたが、この城久遺跡群発見によりその考え方に待ったがかかりました。奄美群島の一部の島にすぎなかった喜界島や奄美大島が沖縄よりも早く発展し、沖縄の国家形成を促したという考え方が主流になる可能性が出てきたのです。この小さな喜界島がかつてそれほどの影響力があったのかどうか興味は尽きないところです。
【参考HP】
  喜界島町公式ホームページ
  目からウロコの琉球・沖縄史

城久遺跡群の概要
2003(平成15)年5月から調査開始,現在も継続中。
城久集落を取り巻く8遺跡の総称。
古代(平安時代)の9世紀〜10世紀の時期と中世の11世紀後半〜12世紀頃、
 13・14世紀頃の3つの時期が中心であると思われる大規模な集落跡。
掘立柱建物跡が約300棟、土坑墓が約40基確認されていて、その数や種類は
 南西諸島では他に類を見ないものである。
北側(九州など)や南側(琉球)との交流を示す多数の陶磁器などが出土。
        
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